オワハラ事例と対処|報道された実例と答え方

オワハラ(就活終われハラスメント)は、内定や内々定と引き換えに、ほかの企業の選考を辞退させたり、就職活動を終えるよう迫ったりする行為です。ここでは、報道機関や就活専門メディアが実際に報じた事例だけを集め、それぞれに出典へのリンクを付けています。企業名は各出典の時点で匿名化されているため、当サイトでも実名は掲載していません。

💡 困ったときの相談先

まずは在学中の大学のキャリアセンターに相談してください。企業とのやり取りで困ったことは、厚生労働省の総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署内)でも相談できます。やり取りの日時と内容は、その日のうちに記録しておくと相談がしやすくなります。

報道された事例と、そのときの答え方

Lv.4 深刻 2015年卒 業種非公開

その場での他社辞退の電話を強要された事例

「携帯出して。今きみが受けている企業に電話をかけて、これからの面接を全部断ってほしい」

都内の大学に通う女子学生が最終面接で、採用担当者から「携帯を出して、今受けている企業に電話をかけて、これからの面接を全部断ってほしい」と求められた。断ると後日不採用に。同時期には4月の時点で入社誓約書の提出を求めた企業もあったと報じられている。

どう動くか

その場での電話には応じなくて大丈夫です。「持ち帰って検討します」で一度離れるのが正解。断ったことを理由にした不利益の言及があれば、大学のキャリアセンターに記録として共有しておきましょう。

  • 「今この場でのご連絡は控えたいので、持ち帰って検討させてください」
  • 「御社が第一志望群です。だからこそ誠実に手続きを踏ませてください」

出典 キャリコネニュース(2015年6月・ディスコ調査)

Lv.3 危険 2019年卒 業種非公開

内定を出したその場で承諾書へのサインを迫られた事例

「直接『就活を終わらせろ』とは言っていませんが、意図的に就活を終わらせるような言い回しでした」(Tさんの証言)

文系学生「Tさん」が最終面接でその場から内定を伝えられた際、面接官から直接「就活を終わらせろ」とは言われなかったものの、意図的にその場での意思確定を迫るような言い回しで対応された。東洋経済オンラインの2019年卒学生アンケートでは、旧帝大クラスで文系学生の34%がオワハラを経験したと回答している。

どう動くか

内定承諾書に法的拘束力はなく、提出後でも辞退は可能です。その場の空気で書かされないこと。「郵送で提出します」と時間を作りましょう。

  • 「書類は一度持ち帰り、内容を確認してから提出させてください」

出典 HR NOTE(2019年卒学生の証言)

Lv.3 危険 2016年卒 外資系金融・コンサル・メーカー・ゼネコン等

8月からの泊まり込み研修で選考期間を拘束された事例

8月1日から3日間〜1週間程度の泊まり込み研修が実施され、その期間は事実上他社の選考を受けられない状態になった。外資系投資銀行・外資系コンサルティングファーム・日系大手メーカー・日系ゼネコンなど、複数業界で同様の報告がある。

どう動くか

研修参加の強制と就活継続の自由はトレードオフにされるべきではありません。日程が他社選考と重なる場合は、事前に企業側へ調整を相談してみましょう。応じない場合は企業の姿勢の判断材料にできます。

  • 「その期間は別日程の選考と重なっており、調整をお願いできますでしょうか」

出典 unistyle(16卒内定者の証言)

Lv.2 警戒 時期不明 IT・通信

長期の入社前研修で就活を続ける時間を奪われた事例

内定者に1カ月間のフィリピン留学での英語研修を課したIT系Webサービス運営企業や、大手資格予備校TACへの通学による長期の英語研修を課した大手ネット通販企業が報告されている。研修が事実上必須とされ、就活を続ける時間的余裕がなくなるケースがある。

どう動くか

研修そのものは前向きな制度である場合も多いですが、「参加しないと不利益」という空気で就活継続を妨げるなら要注意です。任意か必須かを事前に書面で確認しましょう。

  • 「研修は前向きに検討したいのですが、参加は任意という理解でよろしいでしょうか」

出典 unistyle(内定者研修の実例紹介)

Lv.4 深刻 時期不明 人材・サービス

個室で他社への辞退電話を求められ、電話番号一覧を渡された事例

内定者が個室に通され、採用担当者の前で他社への辞退の電話をかけるよう求められた。「主要企業の電話番号を一覧にした分厚いリストを手渡された」ケースも報告されている。

どう動くか

電話番号リストを渡されても、その場での電話に応じる義務はありません。「自分で連絡先を確認して、自分の言葉で伝えます」と断って問題ありません。

  • 「連絡は自分の言葉で行いたいので、リストは参考程度に持ち帰らせてください」

出典 unistyle(Yahoo!ニュース記事の引用として掲載)

Lv.1 注意 時期不明 金融・保険/小売・飲食など複数業界

内々定者懇親会で高級な演出による心理的な引き留めを受けた事例

内々定者懇親会でアワビやフォアグラ、ウニ、キャビアなど高級食材が惜しみなく提供され、机の上には社員からのメッセージ集が置かれているなど、心理的に「辞退しづらくする」演出が行われた例が報告されている。

どう動くか

歓迎の演出自体は悪いことではありませんが、「これだけしてもらったから断りにくい」という気持ちだけで意思決定を左右されないようにしましょう。判断はあくまで冷静な条件比較で。

  • 「温かい歓迎をありがとうございます。その上でじっくり比較検討させてください」

出典 unistyle(記事著者の体験として掲載)

Lv.3 危険 時期不明 メーカー・製造(電力関連)

一般選考から研究室推薦への切り替えを迫られた事例

一般選考で進んでいたにもかかわらず、内定を出す段階になって研究室からの推薦という形式に切り替えられ、辞退すると研究室・指導教員の面子にも関わる状況を作られた例が報告されている。

どう動くか

推薦形式への切り替えに同意する法的義務はありません。納得できない場合は「一般選考のまま進めさせてください」と伝えて問題ありません。不安なら早めに指導教員に相談を。

  • 「推薦への切り替えは荷が重いため、当初どおり一般選考で進めさせてください」

出典 unistyle(内定者研修の実例紹介)

共通してとれる動き方

事例の手口は違っても、対応の原則は共通しています。その場で結論を出さないこと、やり取りを記録すること、1人で抱えないことの3つです。内々定は、企業から示された条件を承諾した時点で始期付解約権留保付労働契約と解されることがありますが、学生の側から辞退できないわけではありません。判断に迷う段階で、大学のキャリアセンターに状況を伝えておくと、後から動きやすくなります。

  • その場での電話や署名は「持ち帰って検討します」で一度離れる
  • 日時・相手・言われた内容をその日のうちにメモに残す
  • 大学のキャリアセンターに、決める前の段階で共有しておく
  • 脅しめいた発言があったときは、総合労働相談コーナーにも相談できる
  • 承諾の連絡をする前に、条件が書面で示されているかを確認する

政府も、就職・採用活動の日程に関する要請の中で、学生へのハラスメントが指摘されていることに触れています。困った状況は、あなたの対応が悪いから起きているわけではありません。

掲載内容について

選考の時期・制度・企業ごとの運用は年度や企業によって変わります。当サイトは公表資料や各社の公式ページで確認した内容を、確認した日と出典とあわせて掲載していますが、応募の前には必ず募集要項など一次情報でご確認ください。特定の企業やサービスへの応募を勧誘するものではありません。

選考でのハラスメントや、内定辞退を認めないといった扱いに困ったときは、大学のキャリアセンターや、厚生労働省の総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談できます。