結論: 内定辞退はいつでもできる
先に結論からお伝えすると、内定承諾書を提出したあとでも、入社直前でも、内定辞退は法的に可能です。企業から「承諾書を出したのだから辞退は許されない」と言われたとしても、その主張が裁判で認められる可能性は極めて低いと考えられています。
内定承諾書は「入社の意思表示」であって、あなたを縛る鎖ではありません。
辞退を支える2つの法的根拠
① 職業選択の自由(憲法22条1項)
日本国憲法は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定めています。どの会社で働くかを最終的に決める権利はあなたにあり、企業側の都合でこの自由を制限することはできません。
② 期間の定めのない雇用の解約(民法627条1項)
内定は法的には「始期付き・解約権留保付きの労働契約」と整理されるのが一般的です。期間の定めのない雇用契約は、労働者側からはいつでも解約を申し入れることができ、申し入れから2週間で契約は終了します。つまり内定承諾後であっても、2週間前に伝えれば辞退が成立するというのが法律の建て付けです。
オワハラ自体はどこから違法になるか
「他社を辞退してほしい」とお願いすること自体が、直ちに違法になるわけではありません。ただし次のような行為は、強要罪・脅迫罪や不法行為(民法709条)に該当し得るラインに入ってきます。
- 目の前で他社に辞退の電話をかけさせる
- 「辞退したら損害賠償を請求する」と告げて心理的に追い込む
- 長時間拘束して承諾書へのサインを迫る
- 人格否定を伴う叱責を繰り返す
この段階まで来たら、我慢して付き合う必要はありません。日時と発言内容を記録し、大学のキャリアセンターや労働局の総合労働相談コーナーに相談してください。
スマートな断り方の3ステップ
ステップ1: 感謝から入る
「選考にお時間をいただき、ありがとうございました」。最初の一言が感謝だと、その後の辞退の言葉も刺々しくならず、誠実に響きます。
ステップ2: 結論を簡潔に、理由は抽象的に
「検討の結果、他社への入社を決めましたので、内定を辞退させていただきます」。どの会社か、なぜかを詳細に説明する義務はありません。深掘りされても「自分の適性を考えた結果です」で十分です。
ステップ3: 引き留めには同じ結論を繰り返す
翻意を促されても、新しい理由を足さずに「意思は変わりません」を穏やかに繰り返すのがいちばん角が立ちません。理由を足すほど反論の材料を与えてしまいます。
よくある不安への回答
Q. 損害賠償を請求されませんか?
内定辞退を理由とした損害賠償請求が認められた例はほとんどありません。採用活動の費用は企業が負担すべきコストと考えられているためです。
Q. 大学に迷惑がかかりませんか?
誠実な手順を踏んだ辞退で大学と学生に不利益を与えることは、企業側にとってもリスクの高い行為です。不安な場合はキャリアセンターに事前に一報を入れておくと安心です。