選考中の見極めは「印象」より「数字」で

選考中に会社の実態を確かめたいなら、面接官の感じの良し悪しより、離職率や残業時間の数字を先に見るのが近道だと考えられます。印象は担当者ごとに変わりますが、数字は働き方の平均像に近いためです。新卒採用では、こうした情報を学生が求められる仕組みが法律で用意されています。

新卒応募者には「情報を求める」権利がある

青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)13条1項は、新卒者を対象に募集を行う企業に、青少年雇用情報を提供するよう努めることを求めています。加えて同条2項では、その募集に応じようとする学生から求めがあった場合、企業は青少年雇用情報を提供しなければならないと定められています。厚生労働省が示す情報項目は次の3類型です。

  • 募集・採用の状況(直近3事業年度の新卒採用者数・離職者数、男女別人数、平均勤続年数)
  • 職業能力の開発・向上の取組(研修や自己啓発支援の有無と内容、メンター制度やキャリアコンサルティング制度の有無)
  • 職場定着の取組(前事業年度の月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得者数、女性役員・女性管理職の割合)

中でも採用者数と離職者数の組み合わせは、早期離職の実態がそのまま表れます。採用人数に対して離職者が目立つなら、その理由を尋ねてみる価値があります。

実際にどう尋ねるか

権利があると言われても切り出しにくい、という声はよく聞きます。対立的に響かない言い方に置き換えてみてください。

  • 「入社後の働き方をイメージしたいので、青少年雇用情報を拝見できますか」
  • 「直近3年の新卒採用者数と離職者数、月平均の所定外労働時間を教えていただけますか」
質問そのものより、返ってきた対応のほうが情報量が多いことがあります。

その場で答える会社も、後日調べて返す会社も、どちらも誠実です。一方で、質問したこと自体を志望度の低さと結びつけられたり、はぐらかされ続けたりするなら、入社後も情報が共有されにくい組織かもしれません。

ユースエール認定という手がかり

もう一つの手がかりが、同法にもとづくユースエール認定制度です。若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する仕組みで、認定基準には具体的な数値が置かれています。

  • 常時雇用する労働者が300人以下の事業主であること
  • 直近3事業年度に新卒者などが正社員として就職した場合の離職率が20パーセント以下
  • 前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下で、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員がいないこと
  • 有給休暇の取得率が平均70パーセント以上、または年間取得日数が平均10日以上

対象は中小企業に限られ、申請していないだけの会社も多いため、認定がないことを悪材料と決めつけることはできません。ただ、月20時間・離職率20パーセント・有給取得率70パーセントという線を覚えておくと、聞いた数字を評価するものさしになります。

情報を出し渋る姿勢とオワハラは地続き

他社の辞退を迫る、その場での即決を求めるといったオワハラ的な働きかけは、学生に比較検討の材料を持たせたくないという発想から出ていることがあります。数字を尋ねられて答えを避ける姿勢とは、根が同じだと考えることもできそうです。

逆に言えば、聞かれて困る数字がない会社ほど淡々と答えてくれます。迷ったときは印象論に戻る前に、確かめられる数字をそろえ直してみてください。そろわないこと自体も判断材料になります。

出典