結論:進む1社を先に決め、残りは決めた順に早く伝える
複数の内定を持っているときの辞退の順番は、「先に進む1社を確定させてから、残りの企業に、辞退を決めた順で早めに伝える」という流れが基本になります。辞退の連絡を先に済ませてから進む会社を選ぼうとすると、断った後に「やはりあちらが良かった」と後悔したり、最後の1社まで断ってしまう事態になったりしかねません。順番の考え方はとてもシンプルで、決める作業と伝える作業を分けることが、迷いを減らすいちばんの近道です。
複数内定を持つこと自体は問題ないのか
まず前提として、複数の内定を同時に持っていること自体は違法でも不誠実でもありません。厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aでは、採用内定によって「始期付解約権留保付労働契約」が成立したと認められることが多いと説明されています。法テラスも、採用内定を受けた人は原則としていつでも内定を辞退できると案内しています。民法上、期間の定めのない労働契約では労働者はいつでも解約を申し出られるからです。
ただし、同じ厚生労働省のページには、事由によっては損害賠償責任が生じる場合があるとも書かれています。法テラスも、会社に対して特に信義に反する場合には例外的に損害賠償責任を負うことがありうるとしています。つまり、辞退そのものは自由ですが、連絡を長く放置したり、入社直前まで黙っていたりする進め方は避けたいところです。だからこそ「順番」だけでなく「早さ」も大切になります。
進む1社をどう決めるか
辞退の順番を決める前に、進む1社を決める必要があります。決めきれないときは、次のような視点で並べてみると整理しやすくなります。
- 労働条件通知や求人票で確認した、勤務地・給与・休日などの条件に納得できているか
- 選考中に接した社員の対応や、内定後の連絡の仕方に違和感がなかったか
- 数年後に自分がどんな仕事をしていたいか、その入口として合っているか
複数の内定があると、「断る申し訳なさ」が判断に入り込みやすくなります。ですが、辞退は法的に認められた行為で、企業側もある程度の辞退を見込んで採用計画を立てています。申し訳なさよりも、自分がどこで働きたいかを判断の中心に置いて大丈夫です。
辞退の連絡はどの順番で、どう進めるか
進む1社が決まったら、残りの企業に辞退を伝えます。順番の考え方は次のとおりです。
- 回答期限が近い企業から先に連絡する。期限を過ぎてからの辞退は、相手の採用計画への影響が大きくなります。
- 期限が同じくらいなら、内定を受けてから時間が経っている企業を優先する。待たせている期間が長いほど、早く伝える意味があります。
- 1社ずつ完結させる。まとめて後日にしようとせず、決めた日のうちに連絡を終えるのが理想です。
伝える手段は、電話で一報を入れてからメールで記録を残す形が丁寧ですが、電話がつながらない場合はメールで先に意思を伝えて構いません。内容は、内定への感謝、辞退の意思、簡潔な理由の3点で十分です。他社名を聞かれても答える義務はなく、「別の会社でお世話になることにしました」と伝えれば足ります。
辞退の順番で迷う時間より、辞退を決めてから連絡するまでの時間を短くすることの方が、相手にも自分にも意味があります。
まだ結果待ちの企業があるときの動き方
内定を複数持ちつつ、第一志望の結果がまだ出ていない、という状況も珍しくありません。この場合は、内定先に対して回答期限の確認や延長のお願いをしたうえで、手元の内定のうち「結果がどうであれ進まない」と決まっている企業だけ先に辞退する、という段階的な進め方が現実的です。
なお、内閣官房が公表している2027年度卒業・修了予定者向けの就職・採用活動に関する要請では、採用選考活動の開始は卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日は10月1日以降とされています。実際の運用は企業ごとに異なりますが、内定から回答期限までの日程を確認する際の目安として知っておくと、極端に短い期限を求められたときに落ち着いて交渉しやすくなります。期限の延長を断られ、即決を強く迫られる場合は、大学のキャリアセンターや公的な労働相談の窓口に相談する選択肢もあります。