結論: 承諾の期限は、延長をお願いしてよい

先に結論からお伝えすると、内定承諾の回答期限を短く切られたとき、その場で押し切られる必要はありません。期限そのものは企業が採用計画の都合で設けているもので、話し合って動かせる余地があります。実際、内定承諾書などの早期提出を強要する行為は、政府が「オワハラに該当し得る例」として明記しているものの一つです。

ですから、「もう少し考える時間をいただけませんか」と伝えるのは、わがままでも失礼でもありません。むしろ、納得して入社先を決めるために必要な確認だと考えてよいと思います。

「すぐに承諾書を」は政府が問題視している行為

内閣官房・文部科学省・厚生労働省・経済産業省の連名で出された「2026(令和8)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請事項」(令和7年3月21日)には、学生の職業選択の自由を妨げる行為、いわゆるオワハラを行わないよう企業に求める項目が置かれています。

この要請事項の参考欄では、オワハラに該当し得る例として「内定承諾書等の早期提出を強要すること」が挙げられています。ほかにも、他社への就職活動を取りやめるよう強要すること、辞退を申し出たのに引き留めるために何度も話し合いを求めることなどが並んでいます。

同じ要請では、オワハラは憲法で保障された職業選択の自由を侵害するおそれがある許されない行為だとされ、企業側が法令違反に問われるおそれや、社会的信用を失うリスクにも触れられています。つまり、期限を極端に短く切って承諾を迫る対応は、企業にとってもリスクのある行為だと整理されているわけです。

延長をお願いするときの伝え方

とはいえ、正面から「それはオワハラです」と切り返す必要はありません。関係を壊さずに時間をつくるなら、感謝と意思を先に置いて、期限だけを相談する形が伝わりやすいです。

  • 「内定をいただけたこと、本当にうれしく思っています。長く働く場所として真剣に考えたいので、回答を◯月◯日まで待っていただくことは可能でしょうか」
  • 「家族とも相談したうえでお返事したいと考えています。一週間ほどお時間をいただけますと助かります」
  • 「御社が第一志望群であることに変わりはありません。そのうえで、選考が残っている企業の結果が◯日に出ますので、それを踏まえてお返事させてください」

いつまで待ってほしいのかを具体的な日付で示すと、企業側も社内で調整しやすくなります。曖昧に「もう少し」とだけ伝えるより、通りやすい言い方だと考えられています。

電話で即答を求められたとき

その場で答えを出さないこと自体は問題ありません。「大事な決断なので、今日中にメールで改めてご連絡してもよろしいでしょうか」と一度持ち帰り、落ち着いてから文面で伝える形にすると、勢いに流されにくくなります。

それでも押し切られそうなときは

延長のお願いを断られ、「今この場で決めなければ内定を取り消す」といった言い方をされた場合は、一人で抱え込まないことをおすすめします。政府が学生向けに公開している資料でも、オワハラかもしれないと感じたら、都道府県労働局、新卒応援ハローワーク、大学のキャリアセンターに相談するよう呼びかけられています。

  1. 言われた内容と日時を、メールやメモの形で残しておく
  2. 大学のキャリアセンターに状況を伝え、対応の相談をする
  3. 必要に応じて、都道府県労働局や新卒応援ハローワークの窓口にも相談する

同じ資料には、内々定・内定の辞退は就活生の正当な権利であり、企業に迷惑をかけるからと考える必要はない、という趣旨も書かれています。一方で、必要以上に多くの内々定を持ち続けることは慎み、節度ある就職活動を、とも添えられています。期限の延長をお願いするときも、返事を先延ばしにし続けるのではなく、区切りを自分で決めて伝えるのが、結果として気持ちの整理にもつながるはずです。

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