結論:セクハラが混ざったオワハラは、ひとりで抱えなくていい

「内定を出すから他社は辞退してほしい」と迫られる場面に、食事への執拗な誘いや性的な発言が重なる。そんな、オワハラとセクハラが混ざったような経験を打ち明ける就活生の声は少なくありません。まず知っておいてほしいのは、選考やインターンシップの場で起きる性的な言動について、企業側に防止のための措置を講じる義務が課されるようになる、ということです。改正された男女雇用機会均等法と指針により、令和8年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント(求職者等セクハラ)の防止措置が事業主の義務になります。我慢して選考を続けるか、黙って辞退するかの二択で考えなくて大丈夫です。

2026年10月から何が変わるのか

厚生労働省によると、令和7年6月11日に労働施策総合推進法等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)が公布されました。令和8年2月にはカスタマーハラスメントと求職者等セクハラの防止指針が公布され、同年10月1日から、それぞれの防止措置が事業主の義務になるとされています。

厚生労働省のリーフレットでは、求職者等セクハラを、事業主が雇用する労働者による性的な言動によって求職者等の求職活動等が阻害されるもの、と説明しています。対象になる人と場面は、次のように整理されています。

  • 求職者等:企業の求人に応募する人のほか、採用に資する活動に参加する人や、教育実習・看護実習などの実習を受ける人
  • 求職活動等の例:採用面接、会社説明会、社員への訪問、インターンシップへの参加など。SNSなどオンラインを介したものも含まれる

また、男性も女性も被害者になり得ること、同性に対する言動も該当することが明記されています。女子学生だけの問題ではない、という点も押さえておきたいところです。

オワハラと重なりやすい場面の例

リーフレットには、求職者等セクハラの例として次のようなケースが挙げられています。

  • 社員訪問をした際に、性的な関係を求められ、求職活動の意欲が低下している
  • インターンシップ中に、私的な食事に執拗に誘われ、苦痛を感じている
  • インターンシップ中に、性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的にされている

オワハラと重なりやすいのは、「内定のことで話がある」と個別の食事に呼び出される、SNSで私的なやり取りを求められ、断ると選考への影響をほのめかされる、といったケースです。性的な言動の部分は、上の定義に照らして相談できる対象になり得ます。

一方で、他社の辞退を迫るような圧力そのものについては、指針上は求職者等に対するパワハラに類する行為への取組として位置づけられ、事業主が行うことが「望ましい」とされる内容にとどまっています。どこまでが義務の対象になるかは個別の事情によるため、両方の要素を分けてメモしておくと、相談するときに伝えやすくなります。

企業に求められる措置を知っておく

事業主が必ず講じなければならない措置として、リーフレットでは、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応などが並んでいます。就活生の立場から特に覚えておきたいのは次の点です。

  • 相談窓口をあらかじめ定め、求職者に周知すること
  • 面談の時間や場所の指定、やり取りに使うSNSの種類など、面談等のルールをあらかじめ明確にし、社員と求職者等に周知すること
  • 相談者のプライバシーを保護するための措置を講じること
夜の個室での「内定面談」や、個人アカウントでの執拗な連絡は、企業が定めるべきルールの外にある可能性がある、という見方ができます。

また、大学のキャリアセンターなどから相談の情報提供があった場合に連携して対応することも、望ましい取組として示されています。

被害にあったときの進め方

  1. 日時、場所、相手の立場、言われた内容を、できるだけそのままの言葉で記録する。メッセージは画面を保存しておく
  2. 応募先企業に相談窓口が案内されていれば、そこへ伝える。社員に直接言いにくければ無理をしなくて大丈夫です
  3. 大学のキャリアセンターに相談し、企業との連絡を一緒に考えてもらう
  4. 改正法に関する問い合わせ先として、厚生労働省は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)を案内しています

選考への影響が怖くて声を上げにくいのは、自然なことだと思います。ただ、性的な言動と引き換えに内定をちらつかせるような企業に、無理に合わせ続ける必要はありません。記録を残し、信頼できる窓口に早めにつなぐことが、自分を守るいちばん確かな方法です。

出典