結論:内定者アルバイトは断ってかまわない。理由は短く、代わりの形を添えて
「入社前にうちでアルバイトをしてみない?」と誘われて、気が進まないまま返事を保留している人もいるかもしれません。先に結論をお伝えすると、内定者アルバイトは断ってかまいません。卒業までの時間は、まず学業のための時間です。大学等の団体でつくる就職問題懇談会も、企業に対して、学生を長時間拘束するような研修や行事をオワハラの例に挙げ、控えるよう求めています。
とはいえ、入社予定の会社との関係は大切にしたいですよね。この記事では、角を立てずに断る伝え方と、すでに働き始めてから辞めたくなった場合の考え方を順にまとめます。
内定者アルバイトはどんな位置づけなのか
内定者アルバイトは、入社前に職場や仕事に慣れてもらう目的で案内されることが多いようです。自分から希望して働くなら、仕事を早く覚えたり、職場の雰囲気を知ったりする良い機会になります。
ただし、働く以上は内定とは別に、アルバイトとしての労働契約を結ぶことになると考えられます。厚生労働省と文部科学省の資料では、アルバイトを雇い入れるときは賃金や労働時間などの労働条件を明示する必要があり、とくに契約期間、仕事の内容と場所、始業・終業時刻や休日、賃金、辞めるときのきまりなどは書面で渡す必要があると説明されています(労働基準法第15条)。
つまり、内定者アルバイトは「内定者の義務」ではありません。条件を確認したうえで、自分で引き受けるかどうかを決める働き方です。
断りにくいと感じたら、「これは内定の条件ではなく、アルバイトの誘いなのだ」と整理しておくと、気持ちが少し楽になります。
角の立たない断り方と例文
1. お礼を先に伝える
誘ってもらったこと自体は、期待の表れとして受け取れます。最初に「お声がけいただきありがとうございます」と伝えると、その後の話が柔らかくなります。
2. 理由は学業を中心に、短く
卒業論文やゼミ、必修の授業、試験などを理由にするのが自然です。細かい事情まで説明する必要はありません。
3. 代わりの関わり方を添える
「入社までに読んでおくとよい資料があれば教えてください」のように、別の形で準備する意欲を伝えると、前向きな印象が残ります。
例:「内定者アルバイトのご案内をいただき、ありがとうございます。大変ありがたいお話ですが、卒業論文と必修の授業に集中したく、今回は見送らせていただけますでしょうか。入社までに準備しておくとよいことがあれば、ぜひ教えていただけるとうれしいです。」
電話や面談で伝えた場合も、同じ内容をメールで送っておくと、あとから「言った言わない」になりにくくなります。
もう働いていて、辞めたい・減らしたいとき
引き受けたものの、学業との両立が難しくなることもあります。その場合も、ひとりで我慢し続ける必要はありません。
シフトを減らしたい場合
先ほどの厚生労働省・文部科学省の資料では、相手の同意なく一方的にシフトを決めたり変えたりしないこと、試験の準備期間や試験期間中は学生の意向を確認してシフトに配慮することが、企業側の点検項目として挙げられています。試験期間が近いなら、早めに希望を伝えてみてください。
辞めたい場合
同じ資料には、アルバイトが退職を申し入れているのに、人手不足などを理由に働き続けるよう強要していないか、という項目もあります。期間の定めがない契約なら、退職を申し入れてから2週間で辞められるとされています(民法第627条第1項)。期間の定めがある契約は、契約期間の満了とともに終了すると説明されています。自分の契約がどちらなのかは、受け取った労働条件の書面で確かめましょう。
研修や準備の時間が無給になっている場合
会社が出席を強制している研修への参加時間や、指示を受けて行う準備・片付けの時間は、労働時間になる可能性があると同じ資料で説明されています。気になる点があれば、記録を残しておくと相談するときに役立ちます。
「断ると内定に響く」と言われたら
アルバイトを断ったことや辞めたことを理由に、内定を取り消すような言い方をされた場合は、落ち着いてやり取りを記録しておきましょう。就職問題懇談会の企業向け要請では、学生を長時間拘束するような選考会や研修、行事の実施など、学生の職業選択の自由を妨げる行為や、意思に反して就職活動の終了を強要する行為を「オワハラ」として、厳に慎むよう求めています。
ひとりで判断がつかないときは、大学のキャリアセンターに相談するのが近道です。入社前のアルバイトを断っても、あなたの評価が決まってしまうわけではありません。学業を大切にしながら、無理のない形で入社に備えていけば十分です。